アルフォン少尉幻想~誰も嫌いになりたくなかった
ヤマトの登場人物でも、誰が好き誰が嫌いという話題は時折出ます。
ネットの時代になって、ホントに憎悪剥き出しというか、何がそこまで気に触るのか…というものも可視化されるようになりました。
私の場合、ヤマト2~完結編をリアタイしていた小学生時代、ヤマト自体全否定される環境でした。(ヤマト2以降アンチになった兄から「脱税西﨑の糞アニメ」と常に揶揄われる)その上変に読解力があり、当時のアニメ誌の記事や投稿のヤマトに対する嘲笑を敏感に読み取ってしまう子どもでした。
だからなんとなく、ヤマトのキャラは誰一人として嫌いたくない、たとえベムラーゼでもスカルダートでも悪口を見るのは辛い、という気持ちがありました。
その最たるものがアルフォン少尉。
物語の役割上、古代&雪ファンにとってはやっぱり好ましくない存在だと思います。私自身も彼の存在にはやはり抵抗を感じました。それでも彼が批判されるのを見るのは、やっぱり辛い。それで、彼には彼の行動の理由があるはず、と考えました。
なぜ雪さんを愛したのか。彼はどんな環境に生まれてどんな風に生きてきたのか、その背景にある家族やデザリアムの社会はどんなものだったのか。どんな任務を帯びてあの場にいたのか。あの行動とあのセリフに至るまでの彼の心中に何があったのか。そしてどんな思いで死んでいったのか。
視聴者の年齢層が上がり、様々な設定がきっちりとスキのないよう作られているリメイクと異なり、オリジナルは(悪く言えば)かなりいい加減です。
でもその分観る側の想像や解釈に委ねられている部分が多く、私にとってはそのユルさいい加減さが心地良かったのです。
そもそもリメイクシリーズの製作陣自体、そうやって自分の中で作り上げてきた俺ヤマト設定をぶち込みまくってるわけですから(笑)
さてその昔勝手に妄想した、昭和版ヤマトよ永遠に準拠・アルフォン少尉の過去設定です。
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古代進の拘束、あるいは抹殺。
それが、私の部隊に与えられた作戦目標だった。
ガミラス帝国及び白色彗星帝国、そして我が前衛艦隊をしても撃破できなかった艦―宇宙戦艦ヤマト。
この艦に再び敗北を喫したくないのなら、ヤマトが地球から飛び立つ前に潰してしまえばよい。
艦を潰す事がかなわないのなら、それを動かす指揮官を乗艦前に排除すればよい。
宇宙戦艦ヤマトの指揮官の名は、古代進。
この男を排除しておけば、地球攻略ははるかに容易なものとなろう。
それは、情報将校として私が上層部に報告した内容だった。
戦術で勝利することに固執する将軍連中が、この作戦に異を唱えたことは言うまでもない。
たかが辺境の一惑星ごときに奇襲など、とか。
たかが戦艦の一隻ごとき、何をそんなに慎重に戦う必要がある、だとか。
別に、私はどうでも良かったのだ。
将校である私には、最も効果的かつ損害の少ない作戦を立案する義務はある。
しかしそこから先の断を下すのは、私ではない。
その結果我が軍が―ひいては我が祖国がどうなろうとも、それは私の知ったことではない。
愚かな将軍達の意見を容れて、そのまま撃破される彼等を見物するのも悪くはない。
しかし、あのターミナルで。
私は古代進でなく、彼女を撃った。
かつて裏切り者の汚名を着てまで幼い私を慈しんでくれたあのひと。あの男は、同胞のために自らの手で彼女を殺した。
私は、あの男を試したかったのか。
あの男に、同胞を捨ててまでも己の愛する者を守る覚悟があるのか。
それとも、望んでいたのか。
古代進という男が―あの男とは違うということを。
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かつて存亡の危機を迎えたデザリアム。
天才科学者スカルダートは、故郷の惑星及びデザリアム人そのものの肉体を改造し生き延びる計画を立案。計画は実行され、スカルダートは救国の英雄として民衆の圧倒的な支持のもと聖総統を名乗り永世支配者の座に就いた。
スカルダート体制のもと、デザリアムは宇宙に侵略の手を伸ばす。
アルフォン(本名/ロデル・フリート・デ・アルフォン)はスカルダート配下の将軍の庶子として生まれ、正妻に子がなかったためアルフォン家の後継として引き取られた。聡明な彼は、家族や使用人たちの表向きの丁重さに隠された卑しい妾の子への軽蔑と嘲笑を敏感に察していた。
そんな彼を慈しみ育てたのは、デザリアムに侵略された星から奴隷として連れてこられた異星の女だった。
やがて奴隷たちは密かに連絡を取り合い、反乱の準備を始める。女は反乱のリーダーである男と通じていた。少年アルフォンはそれを知りながら、彼女の行動を黙認する。
女もまた、同志たちから将軍の子であるアルフォンを人質として利用するよう要求されていた。しかし彼女は、子どもに何の罪があるの?とそれを拒んでいた。
やがて奴隷たちの反乱は失敗に終わる。女は捕らえられ、人質として衆人の前に引き出される。リーダーの男は彼女と愛し合っていたが、捕らえられた彼女を自らの手で撃ち、降伏勧告を拒否した。
それを目の当たりにした少年アルフォンの中に、祖国や同胞・そんなものを必死に守ろうとする者たちに対する疑念と嫌悪が芽生え始める。
偶然ですが、リメイクのイジドール君のような少年従者の設定も考えてました。(でも性格は真逆^^;)
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「―珍しいか?」
将校室のスクリーンいっぱいに映し出された青い惑星に見入っていた僕は、あわてて振り返る。
なんてドジなんだ。少尉どのがお帰りになっていたのも気が付かないなんて。
「も、申し訳ありません!」
「いや、いいんだ。」
少尉どのは優しく笑って、スクリーンを指さした。
「これは、本国から40万光年ほど離れた銀河系宇宙の惑星の一つだ。地球、という。」
その星は、ただ青く、ところどころに白くかすれた帯みたいなものをまとっていた。
僕は、こんな星を見たことがない。僕の知っている惑星といえば、だいたい地表の黄土色そのままだから。
「―ずいぶん、変わった色ですね。何でこんな色なんですか。」
「水、だよ。」
少尉どのはマントをさっとはらうと、椅子に腰掛けて足を組んだ。
「この惑星の表面の大半は水で覆われている。青いのはそのせいだ。」
「水が、こんなに多い星なんてはじめて見ました。」
「そうだな。我々の星系では、水がここまで地表に露出している星はない。―お前の故郷も、そうだったな。」
「はい。」
僕の生まれ故郷は、ベネト星系第5惑星デュラス。暗黒星団帝国の同盟国の一つだ。
「帰りたくはないか?」
「いいえ。今は、一日もはやく本国で立派な軍人になりたいと思います。」
「・・・そうか。―まあ、いい。」
少尉どのは、椅子からゆっくりと立ち上がって、僕の肩に両手を置いて言った。
「―私は、今度この地球の攻略を命じられた。」
「地球人と、戦うのですか。」
「そうだ。」
僕の胸が、どきりと鳴った。初めて、外宇宙に出る。
「帝国の同盟国になれば平和と安定が保障されるのに、愚かな連中ですね。みすみす故郷を危険にさらすことはないのに。」
「・・・それは、お前の目で確かめてみるとよい。」
「しばらくは、艦暮らしになるぞ。今のうちにゆっくり休んでおけ。」
士官候補生の僕は、将官見習として、少尉どの―暗黒星団帝国軍将校、ロデル・フリート・デ・アルフォン少尉―にお仕えしている。
僕達同盟国の士官候補生は、みな一度は暗黒星団帝国の帝都・デザリアム本星で教育を受ける。
そうして、一人前の軍人になって初めて、母国に帰る。
本国の進んだ技術を学んで帰っていってもらいたい、それが聖総統の御心にもかなう事だから、と教官たちは言う。
僕もそう思っていた。
だけど、少尉どのは違った。
―それは、お前が思っているわけではない。思い込まされているだけだ。
僕は驚いた。帝国本星の少尉が、反同盟主義者のテロリスト達みたいなことを口にするなんて。
アルフォン少尉のことを、みんな陰でこそこそと悪口を言っている。
上官への忠誠の印、ということで軍ではみんな髪を剃るのがあたり前なのに、ひとりだけそれに従わないとか。
だけど、髪なんてどうでもいいじゃないかと思う。
少尉は誰よりも優秀で、抜群の戦績を残している。
本星勤務の時には、聖総統の暗殺計画を事前に察知して完璧に鎮圧した。
「少尉どの、僕にはわかりません。なぜあのような危険な異星人を―お側に置かれるのですか。」
ああ、彼女のことか。と少尉どのは笑った。
あんな女ひとりに殺されるようなヘマはしないよ、放っておけばいい、と気にする様子もない。
「あの地球人のために、少尉どのを貶める者達がおります。僕は許せません!」
噂、か。面白い話なら聞いてみたい。話してくれないか。と少尉どのは意地悪く笑う。
「しょ、少尉どのが・・・あの地球人の女性を・・・その・・・弄ぶために、お側に、なんて・・・口にするのも汚らわしいような噂を…少尉どの、どうかそのような者たちを誣告罪で罰してください!」
少尉どのは大声で笑い出した。
あっははは、私がユキを夜毎凌辱している、か。こりゃ傑作だ。
私の奇襲作戦よりも、この噂のほうがヤマト攻略に有効かもしれないぞ。
「笑い事ではありません!少尉どの!」
でも、その後少尉どのはこんなことを言った。
「―兵の強さとは、強健で敏捷な肉体の力ばかりではない。己の信ずるものを持ち得るかどうかだ。」
「あの女は、信じるものを持っている。生命と引き換えにしてまで守りたいものがある―戦場にあって、そういう兵こそが恐ろしいのだ。侮ってはならぬ。―よく、覚えておけ。」
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マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや
寺山修司の句ですが、自分にはなんとなくアルフォン少尉のことに思えるんです。